人生の賭けで得をしようと損をしようと賭けるべき肉が1ポンドでも残っていれば私はそれを賭けるでしょう(ロマン・ラマン)

遂にお正月明け、1月6日から舞台”恋のカーニヴァル”の稽古が始まりましたよ。それはダイエットの幕開けをも意味していました。1年の疲れがどっと出た2006年末、自暴自棄でワインを楽しみ、友人たちの奢ってくれる上海蟹、ふぐ、すっぽん、等等、冬の美食に溺れ、スタジオでは金つば、ゴディバ等等、差し入れの数々をつまみ、デパ地下に発注したおせち料理の詰め合わせは元旦の朝1回て食べ切り、おせちに飽きた時の為の長崎から取り寄せた冷凍角煮まんじゅうは、2006年中に次から次へとチンをして、既に無かった。
そしてやってきた1月6日。家では生の白菜をかじりながら友達のお母さんが作ってくれたしょっぱいおじゃこをつまみ、喉が渇くとまた白菜をかじり、稽古場では動き回り、既に頭に入れているはずの台詞を動き回りながら吐き散らした。この稽古場というのがクオリティーが良いというのであろうか、ばっちり防音壁になっていて吐き出した声をガンガン吸い取っていく。自分が十分な声を出しているのか、出していないのかも分からない。最初は戸惑ったというか、不安というか、私にあるまじき事である。そして演出家、星田氏のダメ出し、ダメ出し。「秋吉さん、ダメ。良い人過ぎる!」「もっと嫌味を出して!」「高ピーに!」「高慢ちきに!」「傲慢に!」「相手を頭から押さえつけて!」だと・・・。あたしがいつも言われている事ではないか。数々の元彼達から、元マネージャー達から。それでも星田氏は稽古が終わった後、急に優しそうに「だめだめだめ、秋吉さん良い人過ぎるアッハッハッ」と笑うのである。あたしの人生ってなんだったのだろう。みんなに騙されていたのかしら。みんなの実力足らずであたしのせいにしていたのを、愚鈍に正直に信じてしまっていたのだろうか。わたしは自分不信に陥った。
とにかく・・・春、一流趣味、高ピーながらも純情なシャルロット。夏、自由奔放、何処までも無責任なベティ。秋、弱気でシャイなイレーヌに起こるセックス革命。冬、完全犯罪の悪女、ジョルジェット。・・・と一人四役では無く、一人四話、相手役の風間さんと演じ分ける、四種混合なのかマラソンなのか分からない芝居に突入した。この辛さ、苦しさを乗り越えてやっと大人なのかな。稽古が始まって一週間、もうシャルロットとべティを通過した。明日からイレーヌにかかる。他の役はカツラでいくつもりだけど、イレーヌは地毛にしようという事で、今日は青山ヘアディメンションに行って、思い切ってボブシャギーに20cm近くカットした。色も久しぶりに明るめのアッシュブラウンに染めた。準備万端。体重も一週間で2.5キロ落ちた。白菜ありがとう、ちりめんじゃこ有り難う、星田さんありがとう、防音壁ありがとう、膨大な台詞ありがとう。そして今まで我慢してくれた服たちありがとう。私はなんてブサイクだったんだ。それをごまかし続けた私の服のセンス、ありがとう。スタイリストのフナキありがとう。もう大丈夫。デザイナーがこうなるであろうと決めた形に、私のお肉は収まった。もう賭けるお肉は無い。1ポンド(453.6グラム )であろうと、もう増やしたくもないし、幕が開いて下りるまで増える事もないだろう。人生、ギリギリ追い詰められるっていうのは女優の醍醐味だね。得をしようと損をしようと人生は賭けることに意義があるというのは大賛成。賭けて超えても終わりはない。


2007年01月13日

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