人は望む通りのことを出来るものではない。望む、生きる、それは別々だ。くよくよするもんじゃない。肝心な事は、望んだり生きたりすることに飽きない事だ。(ロマン・ロラン)

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    日系インド人 アキヨシ         シーク系インド人、サンダル屋のおじさん
 
お芝居が終わったあと、私はすっかり腑抜けになっている。フランソワーズを抱いたまま、一日中、部屋の中をウロウロ歩き回っている。フランソワーズも”パパになる作戦失敗”の影響か、一日中、私にしがみ付いてベタベタしている。インドから帰って一週間経った。それにしてもインド人たち・・・良い旅行も悪い旅行も貴方しだい、と、行く先々でおせっかいにも語りかけてくるインド人たち・・・貴方が幸せなら私も幸せ、と、いきなり高い値段をふっかけてくるインド人たち・・・その全てが、結果真実という事を知り尽くしているインド人たち・・・。

ニューデリーに着くなり、いきなり嵐だった。もう寒くて寒くて。さすが旅のベテランの私は飛行機が寒い場合と、パジャマを兼ねたスパッツを、ズボンの下に履き込み、こんな場合のLLビーンの安物のカシミアのセーターでは足りず、まず着いてすぐ土砂降りの雨の中を合羽を探しに行かなければならなかった。なんでも揃う安宿街メインバザールに行くのに、明かりも疎らなコンノート・プレイスのサークルをぐるぐる探してもタクシー1台見つからない。道で会った男に友達の車に乗れと言われ、ワンメーターで250ルピーふっかけれられた。普段なら30ルピーのところです。高いというと、こんな雨の中、ハイリスクなんだから仕方が無いだろう、ノーチョイスと言い切る。確かにその通り。出た、インド。ああ!インドだ。メインバザールに行き、120ルピーの合羽を20ルピー値切って100ルピーで買う。雨が降ってなければきっと50ルピーなんだ。時と状況によって全ての価値がフレキシブルに変わっていく。フレキシブル万歳。着いた日からこうだった。さっさとデリー脱出。クリシュナが育った(若いとき彼女と遊んでいたところ)マトゥーラにでも行ってみようと駅に切符を買いに行くと、入場券が無いと入れない、駅前のチケットオフィスでないと買えない。と、どいつもこいつも色んな事を言ってくる。”そんなわけないだろ、うるさい”「俺を信じないのか」と言うから、「信じないよ、友達でも無いのに」と言い返すと、何故か逆ギレして凄い形相で怒ってきた。負けるもんか、さっさと駅に行くぞ。今考えてみると、やっぱりこの友達でもないのにってのは傷ついたのかな、いくら詐欺師でも。痛いところを突いたのかもしれない。普通に無視してあげれば良かった。きっと紛争続くカシミールのあたりから来て苦労しているに違いない。パキスタン近くのラジャスタン地方から一攫千金でニューデリーに来たのかなぁ。インドでは人を騙すということは、モラルの問題ではなく、自分の存命を賭けた必要条件なんですよ。だから人の心に入り込むのはOKなんだけど、自分の痛いところを突かれるのは敏感なんだよね、いきなり。乞食なんかでも1ルピー渡すと「いらない、5ルピー寄こせ」とか言ってくるもんね。日本人を舐めてるのか。じゃあ上げないっていうと、怒りながら1ルピー受け取るんだよね。どうなってるの?だから私はごはんを食べるときに余ったチャパティーとか、ちゃんと持ち帰って現物支給で上げることにした。米屋の前を通ると、米を買ってそれを渡す。不思議な事にこのやり方は怒らないんだよね。こちらの手間を認めてくれてるのかしら、アリガトウ。
マトゥーラまでは3時間、のはずが実は5時間かかった。なぜなんだろう?窓の外に広がる景色は嵐、嵐、木、牛、レンガ造りのちょっといい家、瓦礫、ゴミ、ゴミ、牛、平原。たまに寝て、目を覚ましても同じ。だけど飽きない。ずっとずっとこの時間の中に居たい。


2007年04月02日

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