人は望む通りのことを出来るものではない。望む、生きる、それは別々だ。くよくよするもんじゃない。肝心な事は、望んだり生きたりすることに飽きない事だ。(ロマン・ロラン)

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嵐で風が吹くたびに停電するマトゥーラの、アーグラホテルには二日間泊まった。次の目的地、タージマハールのあるアーグラーに列車で移動する為にオートリクシャをつかまえ、マトゥーラの駅に着くと嵐の夜に乗った行きのドライバーに会った。いきなり「ホテルから幾らだった?」と聞かれたので「60ルピーだよ」と言うとリクシャワラー(ドライバー)はゲラゲラ笑い出した。あの夜、あんなに怖い顔をして値段交渉してきたくせに。多めだったのか、少なめだったのか分からないけど、こちらのしぶとさを笑ったんだかなんだか分からないけど、どっちでもいいけど、インドだな。こいつら、元気だな。と、また思った。芝居が跳ねた後の役者みたいだ。
そういえば、10年以上も前にカルカッタで物乞いの襲撃に遭い、たまりかねて「今日はもうおしまい。あんたたちに付き合ってたらお金が無くなってカルカッタから出られなくなるよ。私はただの旅行者でガンジーでもマザーテレサでもない。欲しい人はまた明日」と、叫ぶと十数人の物乞いが一斉に笑い出し「OK、OK、じゃあ、また明日ね」と去っていったのを思い出す。何故か私の名前を知っていて、「じゃあね、クミ。明日は私が一番最初だよ」と言ってる奴もいた。彼らにとっては旅行者なんてジョークだ。旅行者達はあしらわれ放題だ。

列車でマトゥーラからアーグラに移動。屋上からタージマハールが眺められるという、ガイドブックお勧めのホテルは飛び込みという事もあり、運悪く満員。他でホテルを決めて荷物を置き、でも先ほどのホテルの屋上レストランにとりあえず行ってみた。観光地なのでビールも飲める。ビールをやりながらタージマハールを眺めて、という企画だった。インドは基本的に肉と酒は禁じられている。でも、観光は大事な資金源なので旅行者にはビールも出る。でも、ビールのせいじゃない。まだ飲んでいなかったし。建築物に打たれる・・・という事があるのか。それはいきなりだった。長い旅を終えてオアシスに辿り着いたキャラバンのように、初めての星に辿り着いたスターウォーズのルーク・スカイウォーカーのように、タージマハールの全景に打たれた。建物全体がかもし出す清潔感。真っ白に澄み渡っている。世界一美しいお墓という意味がよく分かる。混ざり物が何も無い、魂の姿だ。日が暮れていく。タージマハールが薄っすらピンクに染まっていく。
アグラーでも色々あったけど・・・・・(ラクダを連れた少年とか、名前はなんて言ったっけ。また会いたいな)、タージマハールのこの瞬間の印象に尽きるかな。先行こう。


2007年04月24日

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