カムバック!

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わーい、みんな来てくれた。いよいよ、いよいよ、ついに、やっと帰れます、東京に。と、僕ははしゃいだ。はしゃぎまくった。空中だろうが、地上だろうが関係ない。暴れすぎて、爆ぜた焼き栗みたいにママの手の中から落っこちそうになった。それなのに連れて行かれたのは、またプール。毎日毎日、もう二週間以上もプールで泳いでいる。ご褒美のささみやすき焼き用のお肉も無い。仕方なく、みんなと同じドッグフードをぽつぽつ食べる日々。でも腰の筋肉とか凄くしっかりしてきた、とは言って貰えた。お尻がぴっと上がって、事故前よりもセクシーとも言って貰えた。だけど、気が焦るとやっぱりモリモリ筋肉が付いちゃってる前足だけで二足歩行の癖が付いちゃってるんだよね。このままじゃサルを飛び越して、アインシュタインになっちゃうかも。僕はバカって訳じゃない。だけど大きい犬たちが悲しそうに、遠くを見て将来のことを考えたりしてるのと比べるとかなり御気楽。いらついてる犬も居るけど「おい兄弟、元気か?」とか、からかいに行っちゃう。渡辺先生は僕のことを怖いもの知らずといっている。まぁ、そうだよね。そのせいでこんな事になってるんだし。知ってはいるんだけど、良くなるとかいうよりも、早く普通の生活がしたいんだ。色んな所に行って、色んな人に会いたいんだ。静岡に行って、カワイイ蛍ちゃんとニャンニャンしたいんだ。それなのに、みんなして「うーん、やっぱり後ろの左足が突っ張ってるなぁ」とか「だいぶだけど、もうちょっとだね」とかプールサイドで訳の分からないことを言っている。可愛そうな僕を見て。と、プールの後、一生懸命ぶるぶる震えてアピールしたけどインストラクターのお姉さんは僕を裏切って「普段こんなことないのに、やっぱり甘えてるんですね」とばらしやがった。ママも、「なんだ、寒いんじゃないのか」と見当はずれ。渡辺先生も微笑みながら「必死のアピールですね」。あぁ、僕はいつ帰れるんだろう。愛玩犬なのに、これじゃ闘犬になっちゃう。運命と戦う闘犬!そんなのヤダ。早く帰ってみんなに可愛がられたい。
先生とママたちはそんなことも知らず「この辺で美味しいお店って何処でしょうか?」「近い所なら山本屋の味噌煮込みうどん。今なら牡蠣入りが良いわね」等とのんきに話している。
やがて、「じゃあね」も無く、お土産の小さいヌイグルミを「はい」と渡され喜んでる間にみんなでさっさと居なくなってしまった。カムバック!ママ、みんな、誰かお願い、カムバック!その声は僕の心の中でだけでコダマして、誰にも聞こえなかった。
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2006年11月13日

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